鯨井雄星のサーヴァント。曲者の雰囲気を漂わせる壮年の将。
……
黒田官兵衛孝高。
織田・豊臣・徳川と、戦国三大英傑の下を渡り歩いた知将である。
彼には才がありすぎた。
その周到さと緻密さ、行動力は却って彼を破滅に追い込んだ。
周囲から疎まれ、怖れられた結果、それまで積み上げてきたものは悉く水泡に消えた。
ならばと一念発起、天下分け目の戦をひっくり返す大博打に打って出るも、
そこに至る間もなく戦は終わり、後はただ泰平の世を享受するしかなかった。
非凡にして非運。
己の在り様を悟った頃には、野心もとっくに失せていた。
――そんな彼が英霊として、聖板戦争に召喚される。
既に望みを捨てた身、今更になって何を願い戦うのかと苦笑しながらも、
時代を越えて、彼は策を巡らせる。
しかしこの戦の中に在り、捨て去った夢の続きを見ている心地だとマスターに語る。
結局のところ、こうして知恵を絞る事が出来るのは、彼にとっての本懐なのかもしれない。