セドリック・ウラガンのサーヴァント。戦装束に身を包んだ、男装の女戦士。
……
男装してヴァイキングに加わり、暴れ回る中で発見した一振りの剣。
かつての担い手であった実父の魂との問答の末にそれを譲り受け、数多の戦場にて戦い抜く。
やがて戦いを捨て、一人の女として生きる道を選んだ彼女は、
粗相をして家を出る事となった息子に、父の形見の剣を持たせた。
しかし、彼は剣の魔力に憑かれた。
兄を殺し、敵を殺し、味方をも殺し、暴君として君臨した末に死んだ。
その後も“あの剣”は戦いの渦中にあり続け、自分達一族に死と災いをもたらし続けた。
“あの剣”は邪剣だった。
彼女がそれを知るのは、ずっと後の事であった。
――この度、聖板戦争にて英霊の座に呼ばれ、サーヴァントとして召喚された彼女の手には、
やはり“あの剣”が握られていた。
望みは、この禍々しき剣をこの世から抹消する事。それによって一族の呪いを晴らす事。
それは“この剣”の呪いから唯一免れた自分にしか出来ない事だと、彼女は自覚していた。
だが、長い時を経て再び手に取った剣は、かつてとは比べ物にならない、
御する事も困難なほどの邪気を帯びていたのだった――