「安心せい!!儂は神様じゃがそこまで位が高くはないから
気軽に話かけても良いぞ!!」

概要

北部の山の中にある『天悼神社』で主神として祀られている少女。
現在は擬似的な体で外を出歩ける様にしており、神社近辺や『四季条梓希』と呼ばれる少女の
近辺で目撃される事があり、外見は神社近辺では和服に髪飾り付け、街中では手が隠れる程の
長い袖がある蒼い服にフード付きの黒いベストを着ている。
彼女が抜けた神社には『タマラ』と呼ばれる配神が代理で主神を行っており、彼女がここに来て以降、
神社を参拝する人が増えた事に複雑な気持ちだったりする。

性格
優柔不断で我が儘、周りの雰囲気に流されやすい性格だが、正義感が強く困っている人を見ると
放ってお事が出来ない為、色々と問題を起こしそうな所が多い。
見た目に反して年寄りの様な口調で普段は大人びた喋り方をするが、一度好きな物が出てくると途端に子供の様に
無邪気に喜ぶ。因みに好きなものはお菓子のような甘い食べ物である。

一人称は儂、二人称は御主、貴様と呼ぶ。
方針(聖板戦争での立ち回り方)
『四季条梓希』と言う少女を気に掛けており、その少女の動向を追っている。
戦闘スタイル(強み・弱点含む)
活力を使っての攻撃が出来るが、余り効果的ではないので強化や回復等などの支援を行い、
戦闘はサーヴァントに任せている。
また、転移能力を解禁後はその能力を使い相手の武装などを奪い取り相手の戦力を奪う事が出来る上、
やろうと思えば相手を転移させ異空間に放り込むと言う手もあるが、その場合殺す事になってしまう為
あまり使いたがらない。
転移による戦場での緊急離脱が可能であり、タマルの手に触れる事で最高で二人までの空間転移が出来る。
パートナーについてどう思っているか
神霊界で上位に居る存在な為、マスターだとしてもあまり命令を出せず、
指示されたら断れないのが今の現状である。
ただ、指示は特にされないし、頼んだらちゃんと聞いてもらえる所は助かっていたりする。
台詞の例
「どうじゃこの服、タマラに頼んで今風というヤツに新調してもらったのじゃぞ。ど、どうかのう?」
「嫌じゃ、儂も付いて行くぞ梓希。今の御主は危なっかしくて見てはおれんのじゃ」
「な、何故じゃ・・・儂が居た頃はこんなに活気付いてはいなかったぞ・・・ぐ、ぐぬぬぬ・・・」
「御主達が前に進もうとしていると言うのに、儂もこのままこのまま過去を引き摺っではいられないようじゃな」
珠羅(タマラ)さん
現在、配神として、代理主神として天悼神社を支えている神様。
おっとりしているが真面目で堅実な性格で、広い心の持ち主である。
ただ、少し腹黒い部分ががあったりする。

住む所が無く、路頭に迷っていた彼女をタマルが救った事で現在の関係になっている。
神霊としてはまだ不完全であった為、タマルが居なかったらこのまま消滅していた事もあり、
彼女に対する忠義は相当のものである。

当初は無銘だった為、名前を付ける時に4次の世界に居た際に出合った
珠羅(タマラ)と言う神様の名を借りている。
偶然か彼女の姿はその時のタマラそっくりだったりする。
彼女の持つ神力は『幸運』であり、あらゆる事象において自分の有利な現象を起こす絶対幸運の能力を持っている。
この効果の原因により天悼神社のご利益が健康から開運効果に変わり、
そのご利益を貰いに人が集まっていると思われる。

今の彼女は神霊に属する中ではかなり高い地位におり、実際の所タマルより上の存在だったりする。
実際彼女の神装もタマルよりも豪華な物になっていたりする。
しかし、今ここに居られるのも、この力を開花した事も全てタマルが居たからであり、位が低かろうとも
命の恩人である為、彼女はタマルの期待に答えるべく天悼神社を守っている。
タマルの過去
本名天悼 珠瑠、天悼家初代当主にして神童と呼ばれた女性である。
双子姉妹の姉であり、天才的な魔術センスを持っていた彼女は、その地位を瞬く間に駆け上がり
16歳の若さで自分の家を持つまでになった。
彼女はその際に物質を転移させる事を可能にする秘術『天移之法』を編み出し、その成果に群がる様に
人々が集まり彼女の技術革新に協力するものが増えた。

ある日、彼女の元にある手紙が届いた。
内容は「現在各地で正体不明の化け物が横行しており、その討伐に参加して欲しい」との事だった
勿論その討伐依頼に彼女も率先して参加し、最悪の結果を残し帰って来た。
参加した魔術師達は彼女を残し全滅、殺された者達は決して弱かった訳では無かったのだが、討伐対象がそれを遥かに凌ぐ
力だった為、対処出来ずにやられてしまった。
彼女は討伐対象に気に入られ「自分の子供を生めと」言われ陵辱される事になった。

その後、救出され運よくその相手の子を孕ませる事は無かったが「この穢れた娘が当主ではこの一族は終わってしまう」
と言われ勝手に妹を2代目として持ち直そうとした。
妹は魔術師の素質はあまり無く、内気な性格もあり、周りの大人達に良い様に振り回され、
ただの象徴としてのみ扱われていた。
姉の珠瑠はと言うと穢れた者として扱われているが、神童としての才能は必要だった為、小屋に幽閉する形で
強引に魔術の研究をさせられ、ただの魔術を作り出す機械と化していた。
幽閉されて数ヶ月がたったある日、転移研究をしている際に人体の転移を可能にする理論を発見し、
それを使い脱走する事に成功する。
しかし、直ぐに哨兵に見つかり取り押さえられ咄嗟に押さえている哨兵を転移してしまう。
研究段階であった人体転移は転移場所のイメージをはっきりさせていないと次元の間に呑み込まれ消滅、
即ち失敗する可能性がある代物であり、無意識に使った場合それは転移させた相手を『殺した』に近いものであった。
人を殺めた事を知った彼女は何も出来ず、ただ応援要請に来た哨兵達に囲まれ無抵抗のまま元いた小屋に戻される。
この事件を機に彼女の心が折れ、ただ黙々と魔術の研究をしていた、その命が尽きるまで。
彼女の研究はそれから50年も続き転移魔術は完成に至っていた。
しかし、その資料を保存していた彼女の小屋は突如炎に飲まれ、彼女ものとも燃えカスとなった。
どうにか基礎的な物は残っていたが人体転移の記した資料は回収出来ずにいた。
こうして天悼珠瑠と言う女性の物語は幕を閉じる。

漆黒に包まれた空間を開けるとそこは見知らぬ扉。
閉じ込められていた小屋とは違うどこか開放的に感じがする。外からは子供達の笑う声が聞こえる。
気になって外に出ようとしたが、その体は扉をすり抜けまるで実体が無いかの様であった。
眩しい太陽に当てられ自分の姿を見る、見た事のない蒼い着物に豪華な髪飾りを着飾り経っていた。
自分の姿に驚くよりも前に、この様な目だった服を着ているにも関わらず周りに居る子供達や大人たちは
まるで彼女が居ないかの様に振舞っていた。
必死に呼びかけても反応はない、触ろうとしたがすり抜けて触れない。何がどうなっているのか見当がつかず、
ふと周りを見渡すとそこは自分が居た場所とは全く違う、山の中に立てられた神社があるだけであった。
名は『天悼神社』と呼ばれ底に祭られている主神の名は『天之狭土神珠瑠』つまり今の自分は神様と言う事になる。
正直訳が分からないが今の現状を見ればそれが事実だと言う事も頷けてしまう。
自分は神でもなお生き続けなければならないのかと絶望感に襲われ本殿に引き篭もるようになった、
開く筈の無い扉を見続けながら。

そして数百年の月日が流れたある日ふと物音はしたので目を開ける。そこには一人の少年が立っていた。
どうせい面白半分で入ってきた、罰当たりな子供なのだろうと思い、再び目を閉じようとした時。
「お姉さん、どうしてここに座っているの?」
そう少年が発し驚く。自分は他の人には見えない筈、なのに何故この少年は自分が見えているのかと困惑する。
彼の名は「天悼 柊夜」と言う天悼家の子孫であり、自分と同じ神童と呼ばれる逸材であった。
どうやら偶然本殿に入った際に自分を見つけたそうで、何故見えるのかはよく分からないらしい。
自分が見える原因が難なのか気になったが、柊夜は
「こんな暗い所に居ないで外に出ようよ」と言い出し、彼女の『手を取る』。
扉を出るとそこは以前よりも綺麗になった神社、鳥居の向こう側には見た事の無い建物が見えていた。
「こっちも方がいいだろ?」と笑顔で自分の手を握る柊夜を見ていると、触れる事の出来ない自分に
触れている事などどうでも良くなってきている自分が居た。

その後柊夜と言う少年と関わっていく内に少しずつ打ち解け、彼に合わせて少女の姿になって遊ぶようになった。
しかし、時が経つにつれ、柊夜は少年から青年へと変わり、それからは遊ぶ時間も減っていったが彼はそれでもなお
タマルにその日起こった出来事などを話してくれた。
柊夜が高校を卒業し神社を引き継ぐ話をしていた際、自分の過去の話を少した際に彼が興味を持っていたので
話した、全てを包み隠さず・・・
全ての話を終えると柊夜が黙り込んだまま俯いている。
やはり自分が穢れている事に引いているのだろうと思った瞬間、柊夜はタマルの目の前で土下座をする。
彼の家系がタマルにしてきた行いへの謝罪であった。
それは命乞いではなく、彼女を人として認識した上での謝罪であった。
正直、当事者でない彼には無関係ではあったが、彼の真剣な姿を見ていると自分を縛っていたものが
無くなり、解放された気持ちになった。
その瞬間、彼女の目から涙が流れる。何度拭こうが次々と溢れ出てくる、まるで溜まりに溜まった
ダムが決壊する様に・・・
その日朝になるまで柊夜の胸で泣き続けた。

次の日、柊夜は何かを思い付いたかの様に自分の部屋に行き準備をし始めた。
戻って来ると彼の手には旅行鞄が握られており、彼は「旅に出よう」と言い出す。
突然の事に訳も分からず混乱する。
話を聞くとこの家に居ればタマルはまたあの時の様になってしまう、だから少しでもこの家から離れて
違う世界を周れば少しは気持ちが落ち着くだろうし、自分もこの家系の呪縛から逃れられると思ってのことらしい。
何だか滅茶苦茶な発想だが彼は本気の様だった。神社の中にあったタマルの神体を偽物とすり替え、
神社を出ようとした時、柊夜の祖父に止められる。
しかし、柊夜は祖父の言葉に耳を貸さずタマルの手を取り神社を抜け出す。
遠ざかる神社を見て振り返ると柊夜の背中が見える。当夜が振り向き笑顔でこちらを見ている。
その顔は自分を狭い本殿から出した時と同じ顔をしていた。