剛勇果敢の鉄腕王

概要

 全身が鋼のような筋肉で覆われた巨大な男。
 控えめに言って老齢の域に差し掛かっているが、それでもこの男の「強さ」は些かも陰ることはない。
 豪放磊落、それでいて智慧を持ち機転の効くその姿は紛うこと無き英雄の貫禄である。
 己で決め、我道を往く。人を見て、人を尊ぶ。その姿は間違いなく王者の威風である。
 彼にとってはどちらも偽りなく本当の彼であり、だからこそ彼は勇者にして王なのだ。

性格
 破天荒であり、己の意思を徹すことを良しとする。また、裏表がない良くも悪くも正直な性格である。
 だが悪人、粗忽者かというとそういう訳ではない。彼はあくまで己の意思を確たるものとしているだけであり、そこに悪意はないし悪事を働くこともない。
 困っている人は極自然に助けのために手を伸ばし、人を護り邪悪を斃す。
 たとえ荒っぽいとしても、それでも彼は紛うこと無き英雄である。
方針(聖板戦争での立ち回り方)
特に目的はない。願いもない。
 方針は基本的に「強い奴と戦い力を証明する」ことに集約されている。一種の武者修行……というより、道場破りに近い。
 また、虐げられている弱者や困っている人間を助けることもする。
 助けると言っても相談に乗ったり、或いは励ますことはするが、それが本人のためにならないと思えることは行わない。王の直感か、或いは英雄の勘かは分からないが、彼のそういった行動が外れたことはない。
戦闘スタイル(強み・弱点含む)
 基本的に素手で戦うが、これは武器の武芸が弱いわけではない。というよりも武器がある方が一応強い。
 問題は宝具級の武装があっても尚彼の剛力によって砕け折れることがよくあるという一点に尽きる。
 仮にデュランダル等の「壊れず、欠けず」という概念武装を持つならば、素手ではなく剣で戦うだろう。
 その怪力に耐える武装がない内は、彼の真の全力が見れることは殆ど無いと言っていい。
性格的に相性の良い相手・悪い相手
 基本的に裏表がないため、竹を割ったような性格とは相性が良い。一種体育会系とでもいうべきだろう。
 逆に、権謀術数を駆使するような裏がありすぎる相手とは相性が悪い。
 とはいっても、多少荒いが基本的に真っ当な人格者であるため、余程のことがなければ性格的不一致程度で戦闘するということはない……と思われる。
台詞の例
「ハッハッハッハ! ワシに何か用か、ええおい!?」
「おい、何を悩んどるんだ? うじうじしてても何も変わらんのだ、少しワシに話してみな」
「……なるほど、お前は強いかもしれん。だがな、ワシがどれほどの強敵とやりあったと思ってる? お前の相手はな、そいつらを相手しているようなもんだ……理解るか? ワシが勝つってことだ!」
真名・来歴
 真名はイギリス最古の叙事詩「ベオウルフ叙事詩」の主人公、作中の「最強の人間」にしてウェデル族の王となった英雄ベオウルフ。
 ベオウルフ叙事詩は前半と後半に別れており、前半は年若い頃の巨人グレンデルとその母親たる水魔との戦い、後半は前半から50年後の国を襲う火竜退治である。

 沼地の怪物グレンデルは、夜な夜なシルディング族の館であるヘオロットの館に押し入り人々を惨殺することを繰り返していた。
 その話を聞きつけたベオウルフは15人の部下とともに怪物を斃すためにヘオロットに滞在、グレンデルと戦うことになる。
 ベオウルフのあまりの強さにグレンデルは腕をもぎ取られ、沼地へと逃走。
 そしてその母たる水魔が沼地へと来たベオウルフと戦い、ベオウルフはフルンティングを振るったが水魔の鱗によって折られてしまう。
 結局ベオウルフは素手で戦い、水魔の持っていた巨人の大剣で水魔を殺害、シルディング族を救った。

 その後王となったベオウルフは、50年後に火竜の襲撃を受ける。
 ベオウルフは強力な耐火の鉄盾を持ち、火竜と戦う。
 秘蔵たるネイリングを竜の頭に叩きつけると、相手の鱗を砕いた代わりにネイリングも砕け散り、やはり無手で戦うことに。
 配下であるウィーグラフが火竜の火を恐れずに突撃したことで隙が生まれ、ベオウルフは竜を絞め殺した。
 しかしそこでベオウルフは竜の毒により瀕死となり、ウィーグラフに自身の装備を受け継がせ、死亡した。
 死ぬ間際まで英雄として戦った偉大なる王ベオウルフの死は、民を大層悲しませたという。

 ベオウルフは度々武器を壊しており、結局最後は素手で戦う。
「如何なる剣をも手加減することなく打ち振るう、勇士の膂力はあまりにも優れていた。 それがかえって災いとなったのである」