羽鱗持つ神官王

概要

 白い肌、黒く長い髪の毛、そして竜鱗を持つ長身のサーヴァント。その肉体は鍛えられた筋肉に覆われ、見る人が見れば蛮族としか呼べないような姿をしている。
 しかし、それに反して表情に浮かぶ眼差しは文明的な光を持っている。彼女に吹く風は、文化と秩序の守護者たる温かい太陽の熱を感じさせるだろう。
 その手に担うトルコ石の槍には、翼ある蛇の彫像が巻き付いている。

性格
 性格は温厚。基本的に自己に厳しく他者に甘い。基本的に賢人だが、何か騙されたとしてもその理由を自己に求める程度には自戒が激しい。
 だからこそ、彼女は何かに騙されないように感覚を研ぎ澄ませている。嫌いなものはアルハラ。
方針(聖板戦争での立ち回り方)
 方針は、マスターの凶行を止めつつマスターの願いをやんわりと止めつつ危険な相手を打倒すること。
 彼女のマスターは一般的な価値観から大きく離れているので、それをほんのり普通人に戻したいと思っている。 そのマスターの性質自体は善性なので、真っ当な価値観を持てば大きく優れた善人であると思っている。
 まあ心臓を求めるスタイルには他者よりは理解を示すため、現在は悪党相手ならばと妥協している。
戦闘スタイル(強み・弱点含む)
 戦闘スタイルは槍による接近戦。キャスタークラスで召喚された場合は極めて優れた魔術師としての力を発揮するが、現状は不可能。
 彼女の優れている点は「占星術と予言宝具を使用した戦術・戦略レベルの戦場支配」である。 占星術はやろうと思えば数十年単位の世界の変動を把握できるものであり、聖板戦争の開催期間程度なら盤上の流れを細かく理解できる。その戦端の要所要所で自身の予言を組み込むことで勝利を狙う。
性格的に相性の良い相手・悪い相手
 基本的に善性で他者を慮る人と相性が良い。
 ただ、過去の経験から人を騙そうとする人間を嫌い、善悪問わず正直者であればそれだけで好印象を抱く。
 尚、とある征服者と某煙吐く鏡だけは心底嫌っている。
パートナーについてどう思っているか
 マスターに対しては、性格はともかくその行動をあまり良く思ってはいない。
 性格は非常に好みであり、その人間性とは相性が良い。が、その主義信条が非常に噛み合わない。
 特に神に生きた心臓を捧げるという信仰行為をランサーは認められず、常に止めようと努力している。
台詞の例
「さあ、マスター。君の願いを叶え……るのもどうかとは思うが、私は君と共に戦おう」
「戦を支配するのは、その戦場に立つ前に行うべきことだ。マスターは優れた神官だから何れ判るさ」
「コルテス? ああ、死ぬ程嫌いだ。私はアレだけはどうにも認められん」
真名・来歴
 真名はトルテカの神官王にしてケツァルコアトルの現身"一の葦の御子の(セ・アカトル・トピルツィン)"ケツァルコアトル。
 伝説的指導者である「ミシュコアトル」の子であり、「一の葦の年」に産まれたため「セ・アカトル(一の葦の)・トピルツィン(御子)」と呼ばれた。
 自身に宗教的な苦行を荷すことを良しとしたセ・アカトルは、アステカ・トルテカ圏の指導者としては珍しく人身御供を望まず鳥や蝶、貝殻を神への生け贄とした。
 そんなセ・アカトルが王であることを疎んだ呪術師のアヴァターを纏ったトリックスターの神「テスカトリポカ」によって騙され飲まされた酒によって身を滅ぼした。  酒で荒んだ代償に都市を捨てることとなったセ・アカトルは、敵に財宝を渡すことを拒み己の都市を焼き払った。
 そして神官たちによる引き止めを聞かず、己の不義として国を去ることとしたセ・アカトルは、「一の葦の年に私は戻ってくる」と予言し、その姿を海へと消してしまった。
 民に慕われる伝説の王セ・アカトル・トピルツィン・ケツァルコアトルの帰還の予言は、後世の民にも受け継がれ待ち望まれる程のものである。

 ──セ・アカトルの予言は、絶対に成立するよう世界に定められた魔術である。だからこそ、彼女の風貌的特徴をもった征服者の訪れは必然とされたのだろう。

 それをセ・アカトルは悔いている。自身の予言が、自身の民を苦しめてしまったという事実は彼女に一つの願いを抱かせた。
 セ・アカトルは、絶対に、今度こそ。自身の予言を自分の手で実行し、苦しめられた民の魂を癒す。
征服者(エルナン・コルテス)」より先に彼女が国に帰る事を願い、人死を望まぬ神官王は再び戦場に身を投じた。