ゼロベースキャラクター制作のすゝめ
キャラクターのコンセプトを考える
まずどのキャラクターを作るにせよ必要なのが「どんなキャラにするのか」という『コンセプトを熟考する時間』です。
一般的な性能のキャラクターであれば「既存のキャラクターに歩み寄る」ことが必要です。
「ぼくのかんがえた『究極にして無敵、銀河最強の男』」を作ったところでクソゲーになるだけです。長所とともに短所も作るべきです。
制作前段階である程度技の方針も練っておきます。坂上君はなるたけ刀を使わず交渉・体術で解決を図る平和人なので、
普段は徒手空拳、超必で刀を抜いて攻撃…等、大まかな物でいいので考えておきましょう。
「僕の考えたすげぇ必殺技」は初め作らないほうが無難です。コンセプトの似たキャラクターから技を拝借していきましょう。
こういった「設計図」作りを踏まえないために、初心者は前項の1.の様に始めから大きな壁にぶち当たって砕け散っていくのです…。
上手くいかない初心者の共通点
それでは初心者が陥りがちな4点を、坂上闘真君の失敗ドットを例に説明していきましょう。

その1「デカすぎる」

上の図は既存格闘ゲームのドットを作品別に並べてみたもので、右端が格ゲー黎明期の頃のキャラクターサイズです。
ポリゴンの併用など製作手法の変化により、より大きく高精細なドット絵の作成が可能になりました。
最新版mugenでは左端のHDサイズのキャラクターまで問題なく動かすことができます。
ここで覚えておいて欲しいのが「キャラクターサイズと情報量の関係」です。
例としてソル=バッドガイのドットを比較してみます。


左が初代『GGX』ドットのソル、右が『GGXX』ドットのソルです。
GGXのドットはGGXXのものと比べて小さい分、動かす事のできる量が小さくなる=相手に与える情報量が減るために
手指や小物の省略を行っても違和感が発生しないため、結果的に作業する量は減ります。
更にmugenにはドットの拡大縮小機能があるのでサイズを既存のキャラクターと同規格にすることは簡単です。
ただし情報量が少ないという事は比較した際に荒く見えます。この情報量の少なさを動作の滑らかさ・枚数で補うという手もあります。
とかく初心者の方はこれらを踏まえて作業を行わないため、HDもかくやというサイズで立ち絵ドットを描いて苦悩するのです。
GGXXのソルのドットでおよそ145x280です。単純計算ですが、あなたは145x280=400000粒ものドットを300枚分描き切る自信はありますか?
その2「色数が多すぎる」
「アルカナハート」など、ハードの制約をほぼ無視できるようになった昨今では8bit=256色の枠を超えた作品も見られますが
技術面の制約以外でも色数の制限は作業量を減らすことができるので重用されます。
滑らかなグラデーションで綺麗に見せようという気持ちは分からないでもないですが、初めての製作なら少ない方が良い物が出来ます。

例として志貴のドットを見てみましょう。志貴のドットのうち制服の下と靴紐・靴底、小刀と髪色のパレットは同じものを使っています。
2Pカラーを作成する際にこれら2パーツはさほど変更する必要がない箇所です。纏めてしまった方が容量を節約出来る上に
製作を続けるうちにどの色をどの法則で置けば良いか混乱することが多々ある為に生まれた知恵なのでしょう。
ただしパレット統一は変更したい色で行ってしまうと修正作業がとても苦痛になります。決断はお早めに。
ちなみに某所には3色(+透過色)だけでTYPE-MOONのキャラクターを描写した格闘ゲームがあったりします…。WIPですが

今回作ったドットの場合、似通った色だけで相当数塗られており、はっきり言ってパレットの無駄遣いです
同系統の色には基本色・基本より濃い色2種、基本より薄い色1種の4色もあれば充分綺麗に見せることが出来ます。
ただし、単に同じ色のコントラストを上下させるのではなく、若干色の配合率を変えることで塗りが単調になることを抑えることが出来ます。
これと別に更に濃い影色とハイライト用の薄い色を作っておくと良いでしょう。ただし真っ黒と真っ白はおすすめしません。
この2色はコントラストが強すぎて周りの色とくらべて浮く恐れがあるので、若干コントラストを上下させましょう。
ただし、ここで挙げたものはあくまで一般的なキャラクターを作る場合の基本の色数です。
Pop'n Musicなど陰影をあえて付けない作品のキャラクターの場合は当然基本色以外は必要なくなります。キャラに合わせて融通しましょう。
その3「人体には骨があるということを念頭においていない」
ドット絵板でもたまに見かけますが、勢いや見た目重視で描き上げてしまったために体のバランスが歪なキャラクターを見かけます。
腕が長すぎたり関節位置がおかしかったりするのはドットが表現できる角度の都合がある以上ある程度は仕方ないとも言えますが…

下絵を描く際は隣に定規代わりに既存のキャラを置いて、棒人間でピンク色で示した鎖骨の線と首筋に腰骨、関節位置を描きましょう。
その上から衣服を重ねていくと違和感なく仕上がります。完成したら一旦時間をおいて再度見直すと変なところに気付きやすいです。
特にスカートなど腰から膝までの骨格が曖昧になってしまうキャラクターを書く場合にバランスが狂ってしまいがちです。
下絵を紙に描いてスキャナで取り込む手法が昔からありますが、これもワンクッション置くことでバランスの狂いに気付く場合があるのでお勧めです。
人体バランスについてはネットを調べてみても数多く資料が出てくるのでそれらを参考にするといいでしょう。
その4「格闘ゲーム用のドットだということを念頭においていない」
一般的な格闘ゲームの場合、相手に対して胴を真正面を向かせた構えは基本的にありません。
これは格闘ゲームの場合、四肢全てをまんべんなく攻撃に用いるため、左右どこから攻撃しているのかを明確にするためにある…と個人的に思ってます。
また、ワンボタンで対応した動作がシームレスに出ることが格闘ゲームの魅力の一つなので、余り奇を衒った構えはやめておきましょう。
あと意外にあるのは「地に足のついていない」構えです。地面の位置を意識して足先を設定しましょう。

これらを踏まえて描くとこうなります。オリジナルは陰影や骨格などある程度絵画技法に慣れていることが必要になりますが、
その分動作や技を自由に描くことができるので気楽に作業が出来ます。やられポーズなどは既存のキャラの骨格を参考にしてみましょう。
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