黒い服に身を固めた、どこか幸薄そうな顔をした少女。
ここに来るまでは家も無くただ町を徘徊する事が彼女の日常であった。
その際に町に居るチンピラやヤクザなどによく絡まれる事があり、正当防衛を口実にして彼等を丁重に、
死なない程度にあしらっていたりする。
気絶した彼等の懐からお金を全て抜き取り生活の糧としている。
いつしか彼らの間で「黒服を着た何か幸薄そうな女を見たら逃げろ」言われ「古読市の黒服女」や「妖怪金おいてけ」
などの異名だ付くほどに注意人物になるまでに恐れている。
一部では彼女から狐の耳や尻尾が生えている所を目撃している者居り、本当に妖怪なのではと思っている者も居り、
目撃した者からは「黒服の金取り狐」言われる事がある。
しかし、気を失う際に見た幻覚だと言われ大抵の者は信じる事は無かったりする。
流石に有名になった事もあり、彼女を近付く者が居なくなった為にお金を手に入れえる方法を無くし途方に暮れていた。
人間関係が苦手だった為にアルバイトをしても長続きする事が出来ず、巻き上げたお金も底を尽きようとしていた。
お金も少なくフラフラと各地を彷徨っている中、ふといつもは行かない北部に行って見る事にした。
山々が連なり木々の音だけが聞こえ、喉かな風景が何だか普段とは違う気分してくれる感じがしていた。
先に進むと古読温泉郷と呼ばれる場所に出た。折角だから気分転換に一泊して見ようかなと。予約とかしなくいいのかとか
思いつつも、ここの雰囲気に流されるまま-秋天-と呼ばれる旅館に泊まる事にした。
久しぶりにちゃんとした料理やお風呂などを味わい最高に気分のいい気持ちで寝床に付く。
翌朝、この気持ちも今日で最後かと思うと残念ではあったが、とりあえず今日泊まった分のお金を払おうとするが・・・
指定された料金を見ながら財布を探るが微妙にお金が足りなかったのである。
正直料金について調べずに来たので当然ではあるが、彼女としても何でこんな単純なミスをしたのか分からないでいた。
いつも心を磨り減らしながら生きて来た彼女にとってこの温泉郷はそんな心を癒す場所だったのかもしれない。
謝罪をするもその旅館の女将である『月見 志乃』さんが今回は特別と言う事で通常の半額の料金で済ませてくれた。
何だか申し訳ないと思い、今までの経緯や今いる状況を話した所、この-秋天-で住み込みで働いてみてはどうかと言われた。
嬉しかったが自分の性格ではここも長続き出来るのか不安だあったが、この場所ならもしかしたらそう思いながら、
『旅館-秋天-』での仕事をしてみることにした。
その時、ふと以前にもこんな事やっていたなと思いながら。