『―――ハラ割って話しましょうよ。
 こんな抜けたスモールトークじゃいつまで経っても、
 お互い肝腎カンジンなとこが見えてこないもの』

概要

 公安刑事。
 警察庁公安課、超常事件を主に取り扱う部署「理外監査室応用警邏隊」の隊員。所属は“第二廷”。
 調査・追跡のみならず、というより専ら渉外を担当する交渉屋ネゴシエイターとしての性格が強い。

 元・警視庁刑事部捜査第一課SIT(特殊捜査班)所属。
 その特殊犯罪に対する交渉技能を買われて公安に引き込まれた。
 本来理外の範疇に属する“言霊”という技術を、職務において小出しに用いていたのを見出された形である。

 渉外という責務を任される彼女だが、前部署の感覚でか、しばしば第二廷の軛を踏み越えて第三執の領分――犯罪者との接触、折衝にまでしゃしゃり出るきらいがあり、彼女のそうしたスタンドプレイな姿勢を白眼視する第二廷、疎んじる第三執の人間も少なくない。

性格
一人称:私
二人称:貴方、あんた

 自分に厳しい、意識高い系女捜査官。
 眉根を常に顰めたその表情は、近寄り難い雰囲気を周囲に振り撒いている。
 …まあ、それはどちらかというと性格面というより慢性的な内臓痛を抱えているからで、四六時中鎮痛剤が手放せないとか。

“力による正義はこの上なく強い。でも、悪を挫き、懲らしめて終わり。
 だけど言葉による正義は決して強くは無くとも「その先」がある。”

 飴切はそう信じている。それは言霊遣い、言葉を巧みに遣う術を修める者としての信条であり、矜持である。
 そして「その先」にある、“悪”に対し為すべき処遇を、(それがどのような形に転ぶにせよ)自身が警察という正義の執行機関に属する者として果たすべき使命として固持している。
 ……ただ、その信念は公安警察、それも応用警邏隊という強行的・粛清的性格の強い部署において必ずしも噛み合うものではない。というか、少なからず摩擦や衝突を生んでいる。
 早い話、彼女は“悪”の「その先」を問答無用に摘みかねない“第三執”をあまり信頼していない。

 理屈屋。良くも悪くも、“納得”無くして動けない女。
 悪人に対し一見博愛的とも取れる言動が多く思われるが、その実は憐憫や寛恕というより「現状の正義に納得出来ない“悪人”」の心情を酌んでのものである。反面、自身の納得いかない事に対しては容赦が無い。
 収監後の囚人ともちょくちょく面会して“討論”を重ねては、自身の語るべき“正義”の穴埋め・改善に余念が無い。(それは彼女の中に確固たる正義感が根付いていないが故であるが、だからこそ彼女は自身の納得の行く限りの正しさを突き詰めたいのだ。)
方針(聖板戦争での立ち回り方)
 市中の魔術的暴動の取り締まり。
 その傍ら、聖板戦争の勃発に伴い、古読刑務所に収監されている囚人達が見せる不穏な動向を危惧しており、アサシンに見張らせたり、出来る限り任務の合間を縫って自身も直接足を運んでは目を光らせている(尤も、こちらの頻度ははかばかしくない)。

 また、某回転寿司店暴力事件にえもいわれぬ違和感、納得のいかないものを感じており、既に解決済みの事件の詳細情報を求めてアサシンに色々と漁らせている…が、余計な資料ばかり寄越すのでいまいち捗っていない。
戦闘スタイル(強み・弱点含む)
 一対一の白兵戦に向いた技能を持ち合わせていないので、直接的な戦力としてはあまり期待は出来ない(良くて教科書レベル)。
 対多状況での妨害行動において飴切の技能は猛威を振るう。聴覚と知能があれば――つまり標準的な人間ならば、拡声器と言霊『御障オサワリ』によって“増幅”された彼女の発言を聞き流すことは困難であるからだ(大して好きでもない癖にやたら頭の中でヘビロテするヒット曲を無理やり脳裏に捻じ込まれるようなものである)。

 尤も、彼女の本懐は戦闘になる前に論戦で相手を戦意喪失まで持って行くである。
 …普通に考えれば絵空事だが、交渉スキルに加え言霊「御障」を駆使することで“ある程度”こちらの発言に相手を釘付けにさせることが出来るため、まあ可能性全くの皆無ではなかろう(と思いたい)。
 いざという時の為に『心ノ臓』ヴォランタリーオーガンによる内臓攻撃の下準備を念頭に入れてはいるが、諸刃の剣な上に、失敗を前提に交渉を進めるのはモチベーションが下がるため、よっぽどの下衆相手でもない限り正直使いたくない。
 なりふり構いさえしなければ、『心ノ臓』ヴォランタリーオーガンは上記の対多の原理で凶悪なまでの効力を発揮するのだが(というか本来対多でなければ採算が取れない業であり、それを一対一で使おうとする飴切が莫迦なのだが)。
性格的に相性の良い相手・悪い相手
 くそ真面目女。同類と気が合う、といえば気が合うのだが職業柄ついつい相手の欠点アラ探しに奔るきらいがあり、どうにもギクシャクしてしまう。正論おばさん。
 本気で口論し合える位の苛烈な仲とかがいっそ良いのかも。もしくは余程相手が図太いか。
パートナーについてどう思っているか
 くそじじい。
 対魔術凶悪犯を想定して、抑止力権アドバイザーとして召喚したものの、思った以上に劇物アレ過ぎて持て余している。そのくせどういう訳か自分には割りと好意的な様子なので困惑している。
 『いらん事してんの見つけたら令呪カウントダウンな』と言い含めてはいるが、隠れて何やらかしてるか分かったもんではない。情報収集や刑務所監視を言い付けたものの、こいつ面白半分でプリズンブレイクとかしないだろうな…?
台詞の例
『貴方、拳で語るタイプの人?
 まず言葉で殴り合い出来る様になって来なさいよ、
 ニンゲンに生まれた甲斐が無いでしょ』

『正義は暴力に屈しない。
 それは悪人の抱く“正義”であっても同じこと。
 捻じ伏せるだけじゃ解決には程遠いってことね』

『言うは易く行うは難し、みたいに言うけどねえ、
 言論を尽くさずに行動に走るのは、楽な方に逃げてるのとは違うわけ?
 だいいち、私にとっちゃ“言う”も立派な“行う”の一部よ』