片目を隠す程の長髪に病的なまでに白い肌、そして時代錯誤も甚だしい着流し姿が幽鬼を思わせる。 一見は二十代ほどの青年に見えるが、その正体は仙術で老化を停滞させ二百年近くの時を生きる退魔一族の末裔である。 自らの一族を縛る概念「滅魔奉世」の成就のため、家が断絶した後も各所を放浪、無軌道に『魔』なるものを斬り伏せてきた。 濃密な『魔』の気配に導かれ、聖板戦争開始とほぼ同時に古読の地に足を踏み入れるが……。