まさにミスターポリスマン。サーヴァントとして召喚された直後、早速チャイニーズマフィアの事務所に単身乗り込み、全員捕縛してしまった。
関四郎はこの世にいる間、少しでも日本国の民の為に役に立ちたい…と警察幹部達に熱望し、名を徳野関三郎と変えて警察官の地位を与えられる。警察庁公安課理外監査室に配属され、超常の犯罪者達に対しその剣腕を遺憾なく発揮するのである。
彼の正体を知っているのは一部の警察幹部と、警視流の宝具を伝授した数名の剣術家、警邏隊第三執隊長の緋賀のみ。
直心影流には藤川派、男谷派などの分派があるが、関四郎は正統である長沼派の剣士である。
直心影流男谷派の剣豪・榊原健吉は、練気からの一刀両断で兜割りの神技を披露した。
関四郎が伝授した警察官の武術家数名から、さらに理外監査室の隊員複数に伝授されている。対サーヴァント用の鎮圧術とはいえ、やはり身体能力に大きな差があるサーヴァント相手では中々勝利は難しいようだ。それでもサーヴァントと正面から白兵戦を行えるのは、特筆すべき点である。なお得能関四郎が現世から消滅した場合、宝具としての力も失ってただの技になってしまうが、この事は関四郎も含めて誰も知る者は無い。
史実、得能関四郎は警視流の制定に武術家として大いに貢献している。
その要諦は技に入る前に行う特殊な呼吸法。一度の呼吸で以後五分間、呼吸の必要無く技を放てる無呼吸連斬である。だが大概の相手は最初の一分くらいで耐え切れず、切り捨てられてしまうようだ。某サムライ格闘ゲームでも有名な技。
刀鍛冶である正宗は、警察庁が独自入手した小聖板のレプリカを以って召喚したサーヴァントの一人。同じく召喚された関四郎の実直さを気に入り、正宗の太刀を打ちあげてこれを託した。
その正体は不完全ながら受肉したサーヴァント、得能関四郎。
 『 フロックコートの剣士 』 とあだ名された、明治時代の剣術家にして警察官である。
幕末に直心影流剣術を修め、明治になってからは警察官として警視庁に出仕。
撃剣世話掛(警察官達に武術を教える師範)を務め、警視流武術の制定に加わる。
外務大臣井上馨のボディガードをしていた際、
襲ってきた暴漢十数人を手にしたステッキで一瞬で叩き伏せた…という逸話が残っている。
当時ライバルであった警視庁の同僚剣士達と数々の好勝負を繰り広げ、
晩年は剣道界の元老とさえ呼ばれたが、最期は病を苦にして自刃した。
【セリフ】
『 汝、如何に猛なりとも囲みは鉄刀鉄壁。八門暗剣の伏兵に満ちて逃れる道は無きと、観念せよ! 』
【余談】
…日本史上最強の剣豪は誰か? 剣豪好きならば誰もが一度ならず夢想した事があるだろう。
塚原ト伝? 上泉信綱? 伊東一刀斎? 宮本武蔵? 柳生十兵衛? 沖田総司?
あるいは真里谷円四郎、寺田宗有、白井亨、男谷信友、千葉周作、国井善弥。
しかし当然ながら、時代が違う彼らを勝負させ優劣を競わせる事はできない。
剣の理も時代ごとに変わり、比較しようもないのである。
また例え同じ時代を生きた剣豪であっても、流派の長として立場上立ち会えない事もままある。
同時代の宮本武蔵と柳生利厳と小野忠明と小笠原源信斎の誰が一番強かったのか判断はできないのだ。
…このように、史上最強の剣豪については誰も明確な答えを出す事はできない。
だがここで不肖この私、国巣の考える最強に限りなく近そうな剣豪(の一人)を挙げてみたいと思う。
それは誰あろう、この得能関四郎である。
戦国時代、実際に戦場で多くの者を斬った塚原ト伝や上泉信綱らが強い事は疑い無い。
命のやり取りで磨かれた実戦剣法の太刀は重みを持つだろう。
…では一方、江戸時代に隆盛を誇った竹刀稽古による道場剣法は彼らに劣るのか?
千葉周作や男谷信友は彼らより弱いのか? …いやいやそうとも言えないだろう。
命のかからぬ竹刀による稽古は、死や重傷を気にせず幾度も試合をこなす事ができる。
その結果、戦国時代には無かった巧妙精緻な技の数々が生み出されたのである。
戦場と道場、双方の剣術にそれぞれ利点があるとすれば、この両方に経験のある者が強いと国巣は考える。
すなわち江戸後期に隆盛した道場の剣法を実戦の中で使用できた、幕末と明治初期の剣豪こそが強い…!
という持論である。
激動の時代、幕末の戊辰戦争や明治の士族の反乱を戦い抜いてきた剣客達。
達人である彼らが一同に会し、互いに腕を比べあって切磋琢磨していた場所があった。
それは警視庁である。宮本武蔵と柳生宗矩は戦わなかったが、当時の名だたる剣客達は警視庁に集い、
そこで開催されていた撃剣大会で戦っていたのだ。
奥村二刀流の開祖・奥村左近太。複数流派を極めた高山峰三郎。鏡新明智流の逸見宗助。
田宮流の真貝忠篤。北辰一刀流の下江秀太郎。中西派一刀流の高野佐三郎。直心影流の柿本清吉。
加藤田神陰流の松崎浪四郎…いずれも各地で名の轟いた、剣の天才ばかり。
この内誰が最強でもおかしくは無いが、中でも特に最強クラスの奥村左近太を破り、
日本初の第一回剣道全国大会で優勝した得能関四郎こそ、
国巣が考える日本史上最強剣豪(の候補)なのである。