現代におけるあらゆるコンピューターの操作法を直感的にマスターしており、電子精霊・付喪神の魂魄レベルの高度なAIやサイバーウィルスすら容易く作成可能。その能力を十全に振るえば第三次世界大戦までも引き起こせるが、呪いとも言うべきギャンブル・ゲーム狂いのせいでまったく宝の持ち腐れ。せいぜいハマっているMMORPG内で、チート改造したキャラで暴れ回るくらいにしか使用されない。
普段は主にネットの既婚女性板に常駐していて、生前の夫であるラブレス伯爵の悪口ばっか呟いているようだ。この前某巨大掲示板でHNあぷり☆こっとなる煽り師に憤死させられかけ、その居所を突き止め個人情報晒してやろうとつけ狙っている。
エイダは数学を詩的科学(ポエティカルサイエンス)と呼び、文系の感性を持って数式を捉えるという稀有な才能を持っていた。彼女にはsin(サイン)cos(コサイン)が恋を歌い、√が愛を囁くのだ。…その辺は希代の詩人である父親の血であろうと思われるが、変態としか思えない。ちなみに幼少時の数学の家庭教師は、高名な数学者のド・モルガンである。
実は思うようになりそうでならぬ賭け事の世界に自由人の父の姿を見ており、ギャンブルを数学的に解析しカオスを従える事で、父が帰ってきそうな思いが彼女を突き動かすのである。しかし、現実は彼女の思いのままにはならないのであった。馬もお金も賽の目も、そして父も。
聖板戦争に召喚されて後はデイトレードやFXに手を出しているあたり、まったく懲りていない。
しかし実際に目の前に現れた父は、母の言う通りの(いやそれ以上の)放蕩者。家庭など束縛以外の何物でもないと忌避し、挙句は実の娘を女としてガチ口説く体たらく。母は正しく、バイロンはとても父親になれるような男ではなかった。美化していた偉大な詩人・父への幻滅と生前嫌っていた母への悔悟、エイダは聖板戦争を天の与えた機会と捉え、父への復讐を目論む。
…ここら辺の鬱屈した気持ちを察し、マスターとして彼女の相談相手になってあげていれば国巣×エイダの恋愛ルートもあったかもしれないが、残念ながら鈍感くにすさんはエイダの美しさにデレデレするだけ。令呪で色々命令しちゃう妄想してる内に、馬鹿なイエローモンキー扱いで終わるのであった。
バベッジの解析機関は現代のコンピューターの祖先であり、資金が足りて完成していればコンピューターの歴史は百年早まったと言われる。実際は四則演算や平方根の演算ができた程度だが、当時としては非常に先進的な技術の産物であった。エイダは著書にてこの機関用のプログラムコードを記しており、これが世界初のコンピュータープログラムと呼ばれている。
蒸気機関の登場は工業化社会をもたらし、産業革命の原動力となった。科学文明の象徴たる蒸気の力は中世の蒙昧を駆逐し、神の時代の終焉を告げる。この固有結界内では対神性・対魔術の力が働いており、それらに起因するスキルや宝具の行使に著しい負荷が加わる。神話伝承やオカルティズムに依らぬ能力ならば、問題はない。
スチームパンクな歴史改変の分岐点…としてエイダを扱うのはSF小説でも見られる設定だが、この背景には彼女が解析機関開発の資金繰りにギャンブルを始めたが志半ばで亡くなった、という世間での誤解が多分に含まれている。彼女がもっと生きていれば、歴史は変わったであろうと巷間に思わせる俗説である。とはいえエイダは鳥の解剖学を研究、その翼の仕組みと蒸気機関とを融合させ、飛行機械を作ろうとしていたという逸話も残っており、彼女の存命による蒸気時代の発展到来を荒唐無稽と一笑に伏すこともできないのが面白い。
本名をオーガスタ・エイダ・キング。人類史上で最初のコンピュータープログラマーとして名を残す、19世紀イギリス貴族の女性。
詩人バイロンの娘としても知られている。その功績は(主にフェミニズムの観点から)誇張、美化されてはいるが、コンピューターの歴史に大きな一歩を残した人物と言えるだろう。
親子で聖板参戦は平将門&滝夜叉姫、また同時ではないが徳川吉宗&家重に続き三組目。情熱詩人の親父と真逆の冷静理系…と見えて、根っこの所は結構似たもの同士。恋愛にも父譲りの奔放さを見せ、17歳で家庭教師と駆け落ち(失敗)したりもしていたそうな。好みのタイプは文系理系問わず、学のある男。
旺盛な学習意欲を持ち、骨相学・メスメリズム(催眠術)などを学び、脳神経の活動を計算で分析しようと試みるなど、科学者としての側面もあった。むしろコンピューターと関係の無い分野で頑張っていた感もある。当時はその美貌ゆえ、仲間内である科学者ファラデーやホイートストンなど理系男子達のアイドル的存在であり、レディ・フェアリーとか呼ばれていたそうな。
自分は天才であると鼻にかける高慢ちきな性格だったので、同性の友人は少なく、特に向学心のない女性に対しては辛辣だったとか。…そんな彼女だが、同じく知的美女である同時代の作家メアリー・シェリーは、年上ながら深く心を許せる親友であったらしい。メアリーは島村鰐氏によって前回の第四次聖板に参戦しており、惜しくもすれ違いとなった。
そんな才知と美貌に溢れた彼女だったが晩年はギャンブルで身を持ち崩し、早逝してしまったのが悔やまれる。